[浅草ゆかりの長唄 INDEX]

女伊達 文化六年、江戸中村座で初演。九世杵屋六左衛門作曲。作詞者は未詳。
女侠客が上方の男侠客を相手にして尺八片手に大いに江戸女の凛々しさ見せる趣向の舞踊長唄。「助六」の母胎となっている。

[解 説]

 文化六年(1809)四月、江戸中村座で初演された『邯鄲園菊蝶(かんたんそののきくちょう)』という四季の所作事の夏の部に「女伊達」がある。能の「邯鄲」では蜀の国の青年盧生が、旅の途中、邯鄲の里で枕を借りて見た夢の中で、盧生は楚の国の帝王となり五十年の栄華に明け暮れるが、やがて夢も覚めると粟の飯が炊き上がった時であった。この邯鄲の仮枕の主人公を吉原の傾城とし、その夢の中に展開する世界が四季の所作事という設定であった。

 夏の部である「女伊達」は三代目瀬川菊之丞が踊った。脇差を差し、尺八を持った女伊達が難波と京の二人の男伊達と喧嘩をし、吾妻女の凛々しさを見せるといった趣向で、所作ダテも見せるといった踊りに使われた長唄である。

 作詞者は不明だが、作曲は九世杵屋六左衛門である。

解説者『高岡市万葉歴史館館長:大久間喜一郎』